Gemini Robotics 2発表|企業活用の要点

Gemini Robotics 2の全身制御と企業活用を示すイメージ画像

Gemini Robotics 2は、全身制御、両手作業、複数ロボット協調に対応する3モデル群です。

  • 要点1: ヒューマノイドを足先から指先まで一つのVLAで制御
  • 要点2: ER 2はGemini APIとGoogle AI Studioで利用可能
  • 要点3: 新機体には通常200例未満、数時間のデータで適応

対象: 製造、物流、設備保全でロボットAIを検討する企業担当者

今日やること: 自社の候補作業を一つ選び、安全条件と成功基準を定義する

この記事の著者
株式会社Nexa 代表取締役川島 陸

一橋大学経済学部卒業後、フォーティエンスコンサルティング株式会社(旧 株式会社クニエ)にて法人向けAI導入支援等を経験。独立後、AI系メディア運営やDify/n8nの導入支援を経て、株式会社Nexaを創業。法人向けAI研修・AI導入支援・AI関連メディア運営を手掛ける。

Google DeepMindは2026年7月30日、ロボット向けAIモデル群「Gemini Robotics 2」を発表しました。従来の上半身中心の操作から、ヒューマノイドの歩行や姿勢、指先までをまとめて扱う全身制御へ進んだ点が特徴です。

企業にとっての意味は、ロボットが決められた動作を繰り返すだけでなく、映像を見て手順を判断し、失敗時に修正しながら作業する方向へ進んだことです。ただし、全モデルが一般提供されたわけではありません。導入判断では、公開範囲と安全条件を分けて確認する必要があります。

Gemini Robotics 2は3モデルで構成される

今回の発表は、単一モデルの更新ではありません。Google DeepMindは、低水準の動作、高水準の判断、端末内実行を担う3モデルを示しました。

モデル 役割 主な特徴 提供状況
Gemini Robotics 2 視覚と言語を動作へ変換するVLA 全身制御、双腕、手指やグリッパーの操作 early-access partners向け
Gemini Robotics ER 2 ロボットの高水準な判断を担うVLM 会話、環境理解、多段階計画、ツール利用、協調 Gemini API、Google AI Studioで利用可能
Gemini Robotics On-Device 2 機体内で動くVLA 低遅延、オフライン運用、新機体への短時間適応 early-access partners向け

VLA(Vision-Language-Action)は、カメラ映像と言語指示を受け取り、ロボットの動作へ変換するモデルです。一方、VLM(Vision-Language Model)は、映像と言葉を理解して作業計画を立てます。ER 2が「何をするか」を決め、VLAや制御APIが「どう動くか」を実行する構成です。

全身制御と両手作業が進展した

Gemini Robotics 2は、ApptronikのApollo 2で歩行、しゃがむ、手を伸ばす、物体を運ぶ一連の動作を実演しました。Google DeepMindによると、従来モデルは主にヒューマノイドの上半身で卓上作業を制御していました。今回は足先から指先までを同じモデルで扱います。

手先の操作も広がっています。22自由度の5本指ハンドで結び目を作り、ジッパーバッグを閉じる例が公開されました。標準的な2本指グリッパーでは、狭い場所へ物を詰める作業を示しています。

ただし、公式発表は多指の器用な操作がなお難しいとも明記しています。デモ映像だけで人間と同等の速度や成功率を想定するのは早計です。PoCでは、対象物のばらつきと失敗後の復帰時間まで測る必要があります。

\ Claude Codeの導入、何から始めればいいかわかります /

法人様のAI導入に関するご相談はこちら

複数ロボットが作業を引き継げる

Gemini Robotics ER 2は、数分間にわたる作業で数百の判断を扱い、映像から進捗を追跡します。手順が失敗した場合は、状況を確認して再試行できます。

Googleの評価では、作業進捗を5段階に分類する課題で57.4%の精度を記録しました。重要な瞬間を動画から特定するmoment-findingでは91.3%の精度、平均絶対距離0.96秒と報告されています。これらは特定の評価条件で得た数値であり、実環境の稼働率を保証するものではありません。

新機能の一つが複数ロボットの協調です。異なる機体が共通の意味理解を使い、作業を受け渡します。例えば、移動に強い機体が物を運び、双腕ロボットが細かな操作を担当する分業が考えられます。

企業が今利用できるのは主にER 2

企業がすぐ試せる範囲は限定されています。Gemini Robotics ER 2はGemini APIとGoogle AI Studioで公開され、Gemini Enterprise Agent Platformではprivate previewです。一方、モーター制御を担うGemini Robotics 2とOn-Device 2は、early-access partners向けです。

ER 2はGemini Live APIの双方向ストリーミングに対応します。映像、音声、テキストを受けながら、VLAやナビゲーションAPIをツールとして呼び出せます。したがって、実機がなくても、まず動画を使った進捗判定やシミュレーション上の手順制御から検証できます。

ローカル実行が必要な現場ではOn-Device 2が候補になります。Google DeepMindは、新しい双腕ロボットへ数時間、通常200例未満のデータで適応できると説明しています。ただし、センサー構成や自由度が違えば、機械側の統合と安全検証は別途必要です。

\ 業務自動化のお悩み、プロが30分で整理します /

法人様のAI導入に関するご相談はこちら

製造、物流、設備保全での活用が想定される

現時点で現実的なのは、作業範囲を限定したPoCです。人と同じ空間で何でも任せるのではなく、対象物と動線を制御できる工程から始めます。

活用領域 検証しやすい作業 主な評価指標
製造 部品の供給、箱詰め、器具の読み取り 成功率、サイクルタイム、停止回数
物流 棚からの取り出し、仕分け、搬送連携 誤把持率、再試行率、引き継ぎ時間
設備保全 メーター確認、巡回、異常時の報告 読み取り精度、見逃し率、通信断時の挙動
研究開発 新しい機体への動作転移 必要な実演数、調整時間、再現性

最初の候補には、失敗しても設備や人に影響しにくく、正解を数値化できる作業が適します。「片付け全般」ではなく、「3種類の容器を指定棚へ移す」のように範囲を狭めると評価できます。

安全性はAI評価と機械安全を分けて設計する

Google DeepMindは新しい安全評価「ASIMOV-Agentic」を導入しました。危険なVLAのツール呼び出しを拒否できるか、作業が実行可能かを判断できるか、不確実な場合に人間へ介入を求められるかを測ります。

ER 2は、人が近づいたときに安全停止し、周囲が空いてから再開する評価も行われました。これは有用な進展ですが、ベンチマークの通過だけで工場や倉庫の安全を保証できません。

企業のPoCでは、少なくとも次を別系統で実装します。

  • 速度と力の上限
  • 安全柵、立入検知、非常停止
  • AIが呼び出せる制御APIの権限分離
  • 指示、映像、判断、停止理由のログ
  • 通信断、センサー異常、誤認識時のフェイルセーフ
  • 人間が再開を承認する条件

AIモデルを「安全装置そのもの」と見なさない設計が必要です。既存の機械安全と現場ルールを土台にし、その内側でAIの権限を段階的に広げます。

\ AI活用の「次の一手」を一緒に考えませんか /

法人様のAI導入に関するご相談はこちら

よくある質問

Q. Gemini Robotics 2は一般企業でも利用できますか?

Gemini Robotics ER 2はGemini APIとGoogle AI Studioで利用できます。ただし、実機のモーター制御を担うVLAとOn-Device 2はearly-access partners向けです。一般企業は、まずER 2を使った動画理解やシミュレーションから検証するのが現実的です。

Q. 既存の産業用ロボットをすぐ自律化できますか?

すぐに置き換えられるとは限りません。制御API、センサー、自由度、安全回路を接続し、対象作業ごとにデータ収集と検証が必要です。既存設備との統合費用も含めて判断します。

Q. Gemini Robotics 2はオフラインで動きますか?

Gemini Robotics On-Device 2はロボット機体内でのローカル実行を想定しています。ただし、提供はearly-access partners向けです。利用可能なハードウェア要件や商用条件は、個別に最新の公式情報を確認してください。

まとめ

Gemini Robotics 2は、ロボットAIを卓上の単一作業から、全身制御、多段階計画、複数機体の協調へ広げました。ER 2は開発者が試せる一方、実機制御モデルの提供は限定的です。

企業は、成功条件を測れる単一作業からPoCを始め、AIの評価と機械安全を分離して設計する必要があります。モデルの能力より先に、停止条件、権限、ログ、人間の介入点を決めると、実運用への移行判断が明確になります。

参考資料


ロボットAIを含むAI導入の進め方にお悩みですか?

株式会社Nexaでは、業務選定、PoC設計、安全な運用ルールの整備まで、企業向けAI顧問として支援しています。

AI顧問の詳細・無料相談はこちら →





無料ホワイトペーパー

Claude Code × Codex 最新機能比較 2026

2026年上半期の最新アップデートを公式情報ベースで比較。「自社はどちらを選ぶべきか」の判断軸をまとめた資料を無料でダウンロードいただけます。

資料を無料ダウンロード →PDF 全9ページ

Claude Code × Codex 最新機能比較 2026 ホワイトペーパー表紙

AIの力で、ビジネスを次のステージへ

まずはお気軽にご相談ください。貴社に最適なAI活用プランをご提案します。

AIのプロに無料相談 30秒で日程調整完了