OpenAI「GPT Transcribe」公開|Live版との違い

OpenAI GPT Transcribeのイメージ画像

2026年7月29日時点で、録音処理は1分0.0045ドル、ライブ処理は1分0.017ドルです。

  • 要点1: GPT Transcribeは録音ファイルとコミット済み発話の処理に対応
  • 要点2: GPT Live Transcribeは低遅延の字幕や通話処理に特化
  • 要点3: 両モデルは専門用語、キーワード、複数言語のヒントを利用可能

対象: 音声AIの導入を検討する経営者、DX推進、開発担当者

今日やること: 録音処理とライブ処理のどちらが必要かを先に決める

この記事の著者
株式会社Nexa 代表取締役川島 陸

一橋大学経済学部卒業後、フォーティエンスコンサルティング株式会社(旧 株式会社クニエ)にて法人向けAI導入支援等を経験。独立後、AI系メディア運営やDify/n8nの導入支援を経て、株式会社Nexaを創業。法人向けAI研修・AI導入支援・AI関連メディア運営を手掛ける。

2026年7月29日時点で、OpenAIの文字起こしモデルにGPT TranscribeGPT Live Transcribeが加わっています。録音済み音声には前者、会議字幕や通話など即時性が必要な用途には後者を選ぶのが基本です。

両モデルは同じ文字起こしAIでも、料金と対応APIが大きく異なります。本記事ではOpenAI公式ドキュメントを基に、2モデルの違いと企業が導入前に確認すべき項目を整理します。

OpenAIの新文字起こしモデル2種の概要

OpenAIの公式モデルページでは、GPT Transcribeを高精度な音声認識向け、GPT Live Transcribeを低遅延のリアルタイム音声認識向けと説明しています。どちらも音声をテキストへ変換しますが、処理する音声の状態が異なります。

GPT Transcribeは録音済み音声に向く

GPT TranscribeのモデルIDはgpt-transcribeです。完了した音声ファイルを文字起こしする/v1/audio/transcriptionsに対応し、ファイルを処理しながら結果をストリーミングで受け取ることもできます。

OpenAIは、録音済み音声を元の言語で文字起こしする場合、GPT Transcribeから検討するよう案内しています。会議の録音、商談音声、動画素材、研修コンテンツの処理が主な候補です。

料金は音声1分あたり0.0045ドルです。公式の詳細はGPT Transcribeのモデルページで確認できます。

GPT Live Transcribeは生の音声ストリームに向く

GPT Live TranscribeのモデルIDはgpt-live-transcribeです。マイクや通話から届く音声を受け取り、発話中の差分と確定後のテキストを低遅延で返します。

利用先はRealtime APIの文字起こしセッションです。サーバー側の音声処理にはWebSocket、ブラウザからの音声入力にはWebRTCを利用できます。料金は音声1分あたり0.017ドルです。

ライブ字幕、コールセンター支援、オンライン商談中のメモ生成など、結果をその場で使う業務に適します。仕様はGPT Live Transcribeのモデルページに掲載されています。

GPT TranscribeとGPT Live Transcribeの違い

選定基準は「録音が完了しているか」「発話中に結果が必要か」の2点です。精度や価格だけで選ぶと、必要なAPIに対応していない場合があります。

比較項目 GPT Transcribe GPT Live Transcribe
主な用途 録音、動画、確定済み発話 会議字幕、通話、ライブ音声
モデルID gpt-transcribe gpt-live-transcribe
料金 0.0045ドル/分 0.017ドル/分
Audio Transcriptions API 対応 非対応
Realtime transcription session 対応 対応
出力のタイミング ファイル処理中、完了後、コミット済み発話後 発話中の差分と確定結果
適する接続 ファイルアップロード、Realtime API WebSocket、WebRTC
向く判断 コストと処理量を重視 即時性を重視

OpenAIの料金表では、既存のgpt-4o-transcribeは1分0.006ドル、gpt-4o-mini-transcribeは1分0.003ドル、Whisperも1分0.006ドルです。GPT Transcribeは既存の高精度モデルより安い一方、最安モデルではありません。

一方、GPT Live TranscribeはGPT Transcribeの約3.8倍です。この差は、リアルタイム処理が必要な場面に絞って使う理由になります。料金は更新される可能性があるため、導入時にはOpenAI API料金表を再確認してください。

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企業で想定される3つの活用場面

新モデルの価値は、単に音声を文字へ変えることではありません。専門用語や複数言語を含む業務音声を、後続の検索、要約、顧客対応へつなぎやすくなった点にあります。

会議録音と商談記録

録音後に議事録を作る業務ではGPT Transcribeが候補です。音声を文字化した後にLLMで決定事項、担当者、期限を抽出すれば、議事録作成の下処理を自動化できます。

LLMは文章やコードを扱う言語モデルです。文字起こし結果を要約し、指定形式に整える工程で使います。基本を確認したい場合は、LLMの仕組みと企業活用の解説も参考になります。

コールセンターとライブ字幕

応対中にテキストが必要な場合はGPT Live Transcribeが適します。たとえば、顧客の発話を画面へ表示し、担当者が確認しながらFAQ候補を検索する流れです。

ただし、部分的な文字起こしは後から変わることがあります。確定前のテキストを契約処理や自動返信へ直結させず、確定イベントを待つ設計が必要です。

動画、研修、音声データの一括処理

動画や研修録画のアーカイブ化ではGPT Transcribeを使えます。公式ガイドによると、ファイルは25MBまでで、mp3、mp4、mpeg、mpga、m4a、wav、webmに対応します。大きなファイルは分割処理を前提にしてください。

両モデルは、自由文の文脈、キーワード候補、複数言語のヒントを指定できます。製品名、社内略語、型番、顧客名などを事前に渡せば、一般語へ誤変換される可能性を下げられます。

導入前に確認すべき制限とリスク

GPT TranscribeとGPT Live Transcribeは、音声業務を単独で完成させる汎用モデルではありません。話者分離、英語への翻訳、単語単位のタイムスタンプが必要なら、別モデルや別エンドポイントを検討します。

OpenAIの音声ガイドでは、話者ラベルが必要な用途にgpt-4o-transcribe-diarize、英語への翻訳にwhisper-1を案内しています。「新モデルが既存の音声機能をすべて置き換える」という理解は正確ではありません。

ライブ処理では、通信切断、再接続、重複イベント、発話順序も管理対象です。OpenAIは、異なる発話の完了イベントが順番どおりに届くとは限らないため、item_idで入力と結果を対応させるよう説明しています。

音声には氏名、会話内容、健康情報などが含まれる場合があります。録音の同意、利用目的、保存期間、閲覧権限、人手による訂正手順を先に決める必要があります。APIの学習利用、保持期間、データレジデンシーはモデルと契約条件で異なり得るため、導入時にOpenAIのデータ管理ガイドと社内の委託先審査基準を照合してください。AIシステム全般の監査設計については、AIエージェントのセキュリティ事故から学ぶ企業対策も参考になります。

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日本企業が今取るべき4ステップ

導入は、全社展開ではなく1つの業務でのPoCから始めるのが現実的です。音声環境によって認識結果が変わるため、公開デモだけでは自社での精度を判断できません。

  1. 対象業務を1つに絞る:会議録音、通話、動画のどれを処理するか決めます。
  2. 実音声で評価セットを作る:雑音、複数話者、専門用語を含む20〜50件を用意します。
  3. 精度、遅延、コストを測る:誤認識率だけでなく、訂正時間と月間音声分数も記録します。
  4. 人手確認と監査を設計する:重要判断に使う文字列は、原音と照合できる状態を保ちます。

会議業務全体のAI活用を検討する場合は、Microsoft 365 Copilotの企業向けガイドも比較材料になります。文字起こしAPIを自社開発するか、既存の業務基盤を使うかを分けて考えられます。


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よくある質問

Q. GPT TranscribeとGPT Live Transcribeの最大の違いは何ですか?

GPT Transcribeは録音済みファイルや確定済み発話の処理に向きます。GPT Live Transcribeは、発話中の差分を低遅延で受け取る用途に向きます。即時性が不要なら、まずGPT Transcribeを検討しやすいでしょう。

Q. 料金はいくらですか?

2026年7月29日時点の公式料金は、GPT Transcribeが1分0.0045ドル、GPT Live Transcribeが1分0.017ドルです。実際の予算では、月間音声分数、再処理、テスト、障害時の再送も含めます。

Q. 話者分離や英語翻訳にも対応しますか?

両モデルのモデルページでは、翻訳エンドポイントは非対応です。話者分離が必要ならgpt-4o-transcribe-diarize、録音を英語へ翻訳するならwhisper-1を検討します。

Q. 企業はどちらから試すべきですか?

録音後の処理で要件を満たせるならGPT Transcribeから試すのが合理的です。ライブ字幕や通話中の支援が業務要件に含まれる場合に、GPT Live Transcribeを比較対象へ加えます。

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まとめ

OpenAIの新しい文字起こしモデルは、用途が明確に分かれています。録音済み音声にはGPT Transcribe、ライブ字幕や通話にはGPT Live Transcribeが基本です。

導入時は、価格だけでなく、対象API、遅延、専門用語の認識、人手確認、個人情報管理まで評価します。まずは自社の実音声を使い、1業務だけで精度と運用負荷を測ってください。


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