ソニー銀行と富士通、生成AIで開発期間30%短縮

ソニー銀行と富士通、生成AIで開発期間30%短縮

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ソニー銀行と富士通は生成AIを勘定系の実開発に適用し、基本設計から結合テストまでの開発期間を30%短縮したと発表しました。

  • 成果: 2026年7月時点で、対象工程の工数も40%削減したと公表しています。
  • 仕組み: 設計書やコード、テスト資産を複数の開発工程でAIが活用します。
  • 前提: 人が判断と承認、品質保証を担い、AIだけで開発を完結させる方式ではありません。

対象: 社内システムの開発改善を検討する情報システム部門やDX推進担当者

今日やること: 一つの改修案件で、参照資料と人の承認条件を整理する

この記事の著者
株式会社Nexa 代表取締役川島 陸

一橋大学経済学部卒業後、フォーティエンスコンサルティング株式会社(旧 株式会社クニエ)にて法人向けAI導入支援等を経験。独立後、AI系メディア運営やDify/n8nの導入支援を経て、株式会社Nexaを創業。法人向けAI研修・AI導入支援・AI関連メディア運営を手掛ける。

ソニー銀行と富士通は2026年9月14日、生成AIによる勘定系システム開発の成果を公表しました。基本設計から結合テストまでの開発期間を従来比30%短縮し、工数を40%削減したとしています。

ただし、AIを導入すればどの会社でも同じ効果が出る、という数字ではありません。注目したいのは、プログラム作成だけでなく、設計からテストまでをつなぎ、人の承認を残した点です。発表の範囲と、自社で検証する際の条件を分けて整理します。

ソニー銀行と富士通が公表した生成AIの成果

今回の成果は、本番稼働中の銀行システムの「開発」に生成AIを使った実績です。預金や振込など銀行取引の根幹を処理する仕組みを、勘定系システムと呼びます。今回の発表を「AIが銀行取引を自由に実行するようになった」と読むのは誤りです。

両社は2025年9月から生成AIの適用を始め、2026年7月時点の結果を今回公表しました。設計書の作成、プログラムの製造、複数のプログラムを組み合わせて動作を確認する結合テストなどが対象です。

ソニー銀行と富士通の生成AI適用で公表された開発期間と工数の削減実績図1:基本設計から結合テストまでの実績。数値は両社発表、2026年7月時点。

対象範囲 発表された成果
基本設計から結合テストまで 開発期間を従来比30%短縮、工数を40%削減
基本設計の影響調査 調査工数を最大90%削減
詳細設計の設計書作成 作成工数を最大40%削減
製造工程 ソースコード生成率99%
結合テストの実行 実行工数を最大90%削減

出典:ソニー銀行株式会社の発表(2026年9月14日)。いずれも両社が公表した実績で、Nexaが独立に測定した数値ではありません。

「期間」は完了までの時間、「工数」は担当者が投入する作業量を指します。部門内で共有するときは、30%と40%を混同せず、対象が基本設計から結合テストまでであることを数字と一緒に示してください。

コード生成だけでなく開発資産を工程横断で使う

両社は、前の工程で作った成果物を、後の工程でもAIが活用する方式を採っています。設計書からコードやテストケースを生成するなど、開発資産の再利用を進めています。コードを速く書く機能だけの導入とは、取り組む範囲が異なります。

発表に登場するClaudeは、Anthropicが提供する生成AIモデル群です。Claude Codeは、そのAIを使ってコードの生成、修正、レビューなどを支援する開発ツールです。Amazon Bedrockは、AWS上で生成AIモデルを利用するためのサービスを指します。

本件では、Amazon Bedrock上のClaudeとClaude Codeを中核とするAIエージェントを使っています。AIエージェントとは、与えられた目的に沿って、情報取得やツール操作を組み合わせる仕組みです。単に文章を回答するだけでなく、開発資料を参照して作業を進める役割を担います。

そのうえで、人が判断、承認、品質保証を担当します。金融業務とシステム開発の知見を持つ富士通の人材が、適切なタイミングで評価と改善を行うと説明されています。即時の取引処理を支えるプログラムだけでなく、データをまとめて処理するバッチ処理の開発にも適用しています。

自社で整理するなら、「AIにどのツールを渡すか」に加えて、「どの資料を正本とし、誰が出力を承認するか」を書き出すと、工程間の受け渡しを検討しやすくなります。仕組みの基本はAIエージェントの解説でも補足しています。

ソニー銀行と富士通の生成AI活用における開発資産の共有と人の品質保証図2:開発資産を工程横断で再利用し、人が判断と品質保証を担います。

削減率を自社の目標値にする前に確認すること

ソースコード生成率99%は、正解率99%でも、開発者の作業が99%不要という意味でもありません。 発表は生成率として示しており、人による承認と品質保証を前提にしています。生成した後のレビューや修正を省略する根拠にはなりません。

公開された発表本文では、比較した案件数や規模、生成率の詳しい算式、総導入費用までは確認できません。工程別の「最大90%」も、全案件の平均値としては扱えません。自社の効果見込みに使うには、比較条件を別途確認する必要があります。

基盤の違いもあります。ソニー銀行の勘定系には、富士通の「Fujitsu Core Banking xBank」が採用されています。AWS上で動き、機能を分割したマイクロサービス構造を持つため、機能単位で段階的にAIを適用して評価できたとされています。

古いシステムで設計書が現状と合っていない場合、同じツールを入れるだけでは前提がそろいません。まず、自社の資料が現在のコードやテストと対応しているかを確認する方が、削減率を先に約束するより現実的です。


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自社で試すなら一つの改修と承認条件を決める

以下は発表内容を踏まえた編集部の提案であり、ソニー銀行が公開した導入手順ではありません。本番への自動反映から始めず、一つの改修について、既存成果物とAI出力を比較する検証から始めます。

  1. 対象と正本を決める:範囲が明確な改修を選び、仕様書、対象コード、既存テストの版をそろえます。利用許可のあるデータだけを使います。
  2. 合格条件を先に書く:必要なテスト、レビュー担当者、承認が必要な変更を定めます。AIがテストを作る場合も、同じ誤解をコードとテストの両方に持ち込まないよう人が確認します。
  3. 品質と作業量を一緒に測る:生成時間だけでなく、レビュー、修正、再テストまで記録します。不具合や手戻り、AI利用費用も比較対象にします。

生成AIをシステム開発に試す前に整える対象資料、承認条件、評価指標図3:自社での検証に向けた編集部の提案。銀行の公式導入手順ではありません。

権限や情報管理の準備も必要です。AWSのデータ保護ドキュメントは、利用者によるコンテンツ管理とセキュリティ設定の責任を説明しています。必要最小限の権限や、CloudTrailによる活動記録も推奨事項です。これは一般的なサービスの説明で、ソニー銀行固有の設定を示すものではありません。

契約面では、既存コードを外部サービスに入力できるか、生成物や第三者ライブラリの扱いに問題がないかを確認します。発表には各社へそのまま配れる設定一式や料金表はありません。委託先に相談する場合も、ツール名だけでなく対象範囲と検収条件を伝えます。AI開発会社の選び方に、発注前の確認点をまとめています。

今後の展開は要件定義や運用保守へ

両社は今後、要件定義を含む開発工程全体に加え、セキュリティや運用保守へ適用範囲を広げる方針です。ソニー銀行の周辺系システムにも知見を活用し、富士通は他の金融機関で使える開発モデルとして展開するとしています。

これらは将来の計画であり、今回公表された削減率がすべての領域で達成済みという意味ではありません。続報では、どの業務まで対象が広がったのか、同じ条件で品質と効果を確認できるかを追う必要があります。

よくある質問

Q. ソニー銀行はAIだけでシステムを開発しているのですか?

いいえ。発表では人の判断、承認、品質保証を前提にAIエージェントを活用すると説明しています。コード生成率99%という数値も、無人での開発や本番反映を意味しません。

Q. 開発期間30%短縮と工数40%削減は同じ意味ですか?

異なります。期間は完了までの時間、工数は投入する作業量です。今回の数値は、基本設計から結合テストまでを対象とした2026年7月時点の実績として公表されています。

Q. Claude Codeを導入すれば同じ効果を再現できますか?

同じ効果は保証されません。本件は、開発資料の再利用、基盤、人の評価体制を含む取り組みです。モデルやツールだけで比較せず、自社の案件で品質、総作業量、費用を検証してください。

まとめ

ソニー銀行と富士通の発表は、生成AIを単独のコード作成ツールとして使うだけでなく、設計と製造、テストをつなぐ実開発の報告です。開発期間30%短縮という成果には、対象工程と測定時点があり、人による品質保証が伴っています。

自社で始めるなら、一つの改修について参照資料をそろえ、合格条件と承認担当を決めてください。生成の速さだけでなく、手戻りまで含めた作業量を確かめることで、次に広げる範囲を判断できます。


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この記事で参照した外部情報

  1. ソニー銀行株式会社の発表(2026年9月14日)prtimes.jp
  2. AWSのデータ保護ドキュメントdocs.aws.amazon.com

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