Gemini 3.5 Transcribe発表|企業の活用法

Gemini 3.5 Transcribeの企業活用を解説する記事のアイキャッチ画像

Gemini 3.5 Transcribeは、85以上の言語に対応する業務向け音声文字起こしモデルです。

  • 要点1: Live版と録音音声版をGemini APIでPublic Previewとして提供
  • 要点2: SMARTモードはフィラーや言い直しを整理して読みやすく整形
  • 要点3: 公式料金の概算は録音音声で約0.005ドル/分

対象: 会議、通話、現場報告の文字起こしを効率化したい企業担当者

今日やること: 代表的な音声を10件選び、既存手段との精度と修正時間を比較する

この記事の著者
株式会社Nexa 代表取締役川島 陸

一橋大学経済学部卒業後、フォーティエンスコンサルティング株式会社(旧 株式会社クニエ)にて法人向けAI導入支援等を経験。独立後、AI系メディア運営やDify/n8nの導入支援を経て、株式会社Nexaを創業。法人向けAI研修・AI導入支援・AI関連メディア運営を手掛ける。

Googleは2026年8月26日、音声文字起こしモデル「Gemini 3.5 Transcribe」を発表しました。リアルタイム音声と録音済み音声の両方に対応し、Gemini APIなどでPublic Previewとして提供されています。

企業にとっての注目点は、音声を文字へ変換するだけではありません。「あー」「えー」といったフィラーや言い直しを整理し、数字や段落まで読みやすく整形できます。ただし、監査用の逐語録と閲覧用の議事録では必要な記録が異なるため、用途に合わせたモード選択が欠かせません。

Gemini 3.5 Transcribeの発表内容

Gemini 3.5 Transcribeには、リアルタイム版と録音音声版があります。前者は会話中の字幕やオペレーター支援、後者は会議後の議事録や通話記録に向いています。

用途 モデル 主なAPI 適する業務
リアルタイム音声 gemini-3.5-transcribe-live Live API 即時字幕、電話応対支援
録音済み音声 gemini-3.5-transcribe Interactions API 会議、商談、インタビュー

開発者はGoogle AI StudioのGemini APIから利用できます。法人向けにはGemini Enterprise Agent PlatformでもPublic Previewとして提供されています。正式提供ではないため、本番利用では仕様変更、サポート、SLAの条件を確認する必要があります。

Googleの公式発表は、外部評価サービスArtificial Analysisの測定として、平均WER(単語誤り率)がストリーミングで4.0%、非ストリーミングで2.6%だったと紹介しています。WERは低いほど誤りが少ない指標ですが、音質、言語、専門用語、話者数によって結果は変わります。自社音声での評価を省略できる数字ではありません。

SMARTとVERBATIMは何が違うのか

新モデルは、用途の異なる2つの文字起こしモードを備えています。読みやすさを優先するか、発話の忠実な保存を優先するかで選びます。

SMARTは共有しやすい記録を作る

SMARTモードは、フィラー、どもり、自己訂正を整理します。句読点、大文字と小文字、段落、箇条書き、日付、通貨、数字も自動で整形します。

たとえば会議後に参加者へ共有する議事録では、読み返す必要のない言いよどみを除けます。一方、整形によって原音との差が生じるため、監査や厳密な発言確認の原本としては扱いに注意が必要です。

VERBATIMは発話を忠実に残す

VERBATIMモードは、フィラー、繰り返し、言い直しを含めて記録します。コンプライアンス確認、ユーザー調査、会話分析など、発話の過程自体が意味を持つ業務に適しています。

運用では、VERBATIMの出力を原本に近い記録として保持し、SMARTの出力を検索や共有に使う方法が考えられます。両者を同じ「議事録」として上書きしない設計が必要です。

対応範囲は85以上の言語とロケールで、日本語ja-JPも含まれます。固有名詞や製品名はカスタム語彙へ最大1,000語登録できますが、Googleは通常100語以内で最良の結果になりやすいと案内しています。

\ AI導入の進め方を一緒に整理しませんか /

AI顧問の無料相談はこちら

料金と技術上の制限

Gemini Developer APIの公式料金表には無料枠と有料枠があります。有料枠の目安は、Live版が合計約0.009ドル/分、録音音声版が合計約0.005ドル/分です。

モデル 入力音声の目安 出力テキストの目安 合計概算
Gemini 3.5 Transcribe Live 0.005ドル/分 0.004ドル/分 約0.009ドル/分
Gemini 3.5 Transcribe 0.003ドル/分 0.002ドル/分 約0.005ドル/分

実際の請求額はトークン消費量で決まります。分単価は公式料金表のトークン換算を基にした概算であり、利用前に最新料金を確認してください。

機能は自由に組み合わせられるわけではありません。主な制限は次の通りです。

  • Live APIの連続セッションは最大10分
  • 録音音声は通常最大1時間
  • 話者分離または単語タイムスタンプを使う場合は最大30分
  • SMARTモードは話者分離や単語タイムスタンプと併用不可
  • Live APIは話者分離と単語タイムスタンプに非対応
  • 録音音声の話者分離は最大8話者で、3話者以上の割り当て精度は実験的

長い会議を話者別に処理する場合、単にファイルを送るだけでは上限を超える可能性があります。無音区間で分割し、前後の文脈や話者IDをどう引き継ぐかまで設計する必要があります。

企業で使える3つの業務

導入効果を測りやすいのは、音声量と人手修正時間を把握できる業務です。全社導入より、代表的な音声を選んだ小規模な検証が適しています。

コールセンターのリアルタイム支援

Live APIで通話を即時に文字化し、オペレーター画面へ字幕を表示できます。注文番号や製品コードをカスタム語彙へ登録すれば、一般語彙では誤認識しやすい情報を補正できます。

ただし、Live API単体では話者分離ができません。顧客側と担当者側の音声チャネルを分けられる電話基盤なら、入力段階で識別する設計が必要です。

会議と商談の記録

録音音声版は、話者分離や単語単位のタイムスタンプを利用できます。逐語録の保存、読みやすい議事録の作成、決定事項の抽出を別工程に分けると、確認可能性を保ちやすくなります。

商談記録では、文字起こし結果をそのまま顧客管理システムへ確定登録しない方が安全です。担当者が固有名詞、金額、期限、合意事項を確認してから反映する承認工程を置きます。

現場作業と点検報告

製造、建設、保守の現場では、手が塞がった状態でも音声で報告できます。部品名、型番、施設名をカスタム語彙へ登録し、SMARTモードで箇条書きや数字を整形すれば、報告書作成の後処理を減らせます。

誤認識が安全判断へ影響する項目は、自動確定させない運用が前提です。型番、数量、異常値を原音と照合できる画面を用意します。

\ 業務自動化のお悩みをAI顧問に相談できます /

AI顧問の無料相談はこちら

導入前に確認するデータ管理

企業利用では、精度より先にデータの扱いを決める必要があります。同じGemini APIでも、無料枠と有料サービスでは入力データの利用条件が異なります。

Googleの追加利用規約では、無料サービスへ送信した入力と出力が製品改善などに利用され、人間のレビュアーが処理する場合があると説明されています。Googleは無料サービスへ機密情報、個人情報、非公開情報を送らないよう明記しています。

一方、有料サービスのプロンプト、音声ファイル、回答はGoogle製品の改善には利用されません。それでも、録音音声を扱う企業は次の項目を社内ルールへ落とし込む必要があります。

  1. 録音対象者への通知と同意
  2. 音声と文字起こしの保存期間
  3. 閲覧権限と監査ログ
  4. 原音を削除する条件
  5. 誤認識を人が確認する対象項目
  6. 処理地域、委託先、データ処理契約の確認

Public Previewを「安価だからすぐ全社標準にする」と判断するのは早計です。まず非機密データで評価し、法務、情報システム、業務部門が本番条件を合意してから対象を広げます。


AI音声活用の対象業務、データ管理、ツール選定を整理したい企業は、株式会社NexaのAI顧問へご相談ください。

AI顧問の無料相談はこちら →


今すぐ試すための3ステップ

PoC(概念実証)では、精度だけでなく修正時間と運用負荷を測ります。高いベンチマーク値でも、自社の音響環境や専門語で同じ結果になるとは限りません。

  1. 代表音声を10件選ぶ
  2. 静かな会議、雑音のある通話、複数話者、専門用語を含む音声を混ぜます。
  3. SMARTとVERBATIMを比較する
  4. 発話の欠落、数字、固有名詞、決定事項の再現性を確認します。
  5. 業務KPIを測る
  6. WER、修正時間、1時間当たり費用、確認漏れ、処理待ち時間を既存手段と比べます。

最終判断では、文字起こし精度が高いかだけでなく、人が確認すべき箇所を特定しやすいかを見ます。修正箇所が分散する仕組みより、低信頼部分を明示できる仕組みの方が運用しやすい場合があります。

\ AI活用の「次の一手」を一緒に考えませんか /

AI顧問の無料相談はこちら

Gemini 3.5 Transcribeのよくある質問

Q. Gemini 3.5 Transcribeは日本語に対応していますか?

はい。公式ドキュメントの対応言語一覧には日本語ja-JPが掲載されています。ただし、日本語でも業界用語、固有名詞、方言、音響環境によって精度が変わるため、自社音声で評価してください。

Q. Gemini 3.5 Transcribeは無料で使えますか?

Gemini Developer APIの公式料金表には無料枠があります。ただし、無料サービスでは入力と出力が製品改善などに利用される場合があるため、機密情報や個人情報を含む音声は送らないでください。

Q. 会議の話者分離はできますか?

録音音声版では最大8話者の話者分離に対応します。3話者以上の割り当て精度は実験的です。Live APIは話者分離に対応していません。

Q. 機密情報を含む音声に利用できますか?

無料枠には送らないでください。有料サービスを検討する場合も、利用規約、データ処理条件、録音同意、保存期間、アクセス制御を確認し、組織の情報管理基準に適合させる必要があります。

まとめ

Gemini 3.5 Transcribeは、リアルタイムと録音音声の文字起こしを提供し、日本語を含む85以上の言語に対応します。SMARTとVERBATIMを使い分けられるため、共有用の読みやすい記録と、確認用の逐語記録を分離できます。

企業は、代表音声10件ほどのPoCから始めるのが現実的です。固有名詞と数字の精度、修正時間、費用、データ管理を測り、Public Previewの制限を踏まえて対象業務を広げてください。

公式情報


AIの導入・活用にお悩みですか?

株式会社NexaのAI顧問は、ツール選定から小規模検証、データ管理、社内定着まで伴走します。音声AIをどの業務から試すべきか分からない段階でもご相談いただけます。

AI顧問の無料相談はこちら →





無料ホワイトペーパー

AI導入の判断に使える資料 3選

公式一次情報をAIで再確認した、Nexaの実務資料です。

AIの力で、ビジネスを次のステージへ

まずはお気軽にご相談ください。貴社に最適なAI活用プランをご提案します。

AI顧問の無料相談 サービス詳細も確認できます