Claude(クロード)で契約書レビュー|リーガルチェックの手順と任せてよい範囲

Claude(クロード)で契約書レビュー|リーガルチェックの手順と任せてよい範囲

執筆・編集:株式会社Nexa 編集部(下書きと機械検査はAI、公開前に人が確認)/約18分で読めます。公式ドキュメント・公式発表などの一次情報を確認したうえで執筆・更新しています。AIツールの仕様や料金は変わることがあるため、導入判断の前に各公式サイトの最新情報もご確認ください。記事の作り方と検査の方針

Claude(クロード)での契約書レビューは、「契約書を渡す → 観点を指定して洗い出させる → 人が原文と照合する」の3ステップで行えます。Claudeに任せるのは一次チェックまでで、最終判断は人と専門家が行います。

  • 任せてよい範囲: 条項の要約、ひな形との差分、不利になりそうな条項の候補の洗い出し、修正案のたたき台
  • 人が確認する範囲: 指摘が原文と合っているかの照合、自社の事情を踏まえた判断。法的な評価と最終判断は弁護士などの専門家
  • データの扱い: Anthropic公式によると、Team・Enterprise・APIなどの法人向け製品は既定では入力内容を学習に使わない。Free・Pro・Maxは利用者が設定で選ぶ
  • 繰り返し使う場合: Claude Codeのスキルにチェック観点(4カテゴリ)を書いておくと、同じ基準で一次チェックを回せる

対象: 契約書の確認を担当する法務・管理部門の方、専任の法務担当者がいない中小企業・スタートアップの経営者・事業責任者

今日やること: 自社のプランのデータの扱いを確認し、契約書1通で下の3ステップを試す

確認日: 2026年9月28日(Anthropic公式ページ・法務省・公正取引委員会の公表資料を確認)

この記事の著者
株式会社Nexa 代表取締役川島 陸

一橋大学経済学部卒業後、フォーティエンスコンサルティング株式会社(旧 株式会社クニエ)にて法人向けAI導入支援等を経験。独立後、AI系メディア運営やDify/n8nの導入支援を経て、株式会社Nexaを創業。法人向けAI研修・AI導入支援・AI関連メディア運営を手掛ける。

Claude(クロード)で契約書をレビューするときの結論は、次の2点です。

  • 手順は「契約書を渡す → 観点を指定して洗い出させる → 人が原文と照合する」の3ステップ
  • Claudeに任せるのは、確認が必要そうな箇所の洗い出しまで。契約を結ぶかどうか、どう修正するかの判断は人が行い、法的な評価は弁護士などの専門家に確認する

この記事では、最初にチャット画面でできる手順と役割分担、契約書を入力する前に確認しておくデータの扱いを説明します。後半では、同じチェックをClaude Codeの「contract-checker」スキルとして仕組みにする方法を、レベニューシェア型業務委託契約で高リスク4件・中リスク6件を検出した事例とあわせて解説します。

なお、この記事は一般的な情報の整理であり、個別の契約についての法的な助言ではありません。

Claudeで契約書をチェックする手順と、任せてよい範囲

チャット画面で行う3ステップ

  1. 契約書を渡す: Claudeのチャット画面に契約書のファイルをアップロードします。公式ヘルプによると、PDF・DOCX・TXTなどに対応しています。
  2. 観点を指定して洗い出させる: 自社の立場(委託側か受託側か)、確認したい観点、出力の形式を指定します。
  3. 人が原文と照合する: 指摘された条文番号と文言を契約書の原文と見比べ、読み違いや読み飛ばしがないかを確認します。

指示文の例です。

添付の業務委託契約書を、受託側(当社)の立場で確認してください。

【確認したい観点】
・損害賠償の上限、免責
・知的財産権の帰属
・契約期間、自動更新、解除の条件
・金額や支払条件で定義が曖昧な箇所

【出力形式】
・条文番号/原文の引用/気になる理由/確認したい事項 の表
・原文に書かれていないことは「記載なし」と書く
・法的な結論は出さず、専門家に確認すべき点を最後にまとめる

原文の引用を必ず出させるのは、3つ目のステップで人が照合しやすくするためです。

任せてよい範囲と、人・専門家が確認する範囲

区分 内容 例
Claudeに任せてよい範囲(一次チェック) 条文を読み、確認が必要そうな箇所を洗い出して整理する作業 条項の要約、自社ひな形との差分の一覧化、定義や金額が未確定の箇所の指摘、確認観点ごとのチェック表の作成、修正案のたたき台
人が確認する範囲 Claudeの出力が原文と合っているかの照合と、自社の事情を踏まえた判断 引用された条文番号・文言の照合、読み飛ばしがないかの確認、取引の背景や力関係を踏まえた優先順位づけ、相手方への伝え方
専門家(弁護士)に確認する範囲 法的な評価と最終判断 条項の有効性や法令への適合、金額の大きい契約・長期の契約、紛争になっている、またはなりそうな案件、相手方に提示する修正文言の確定

Anthropicの法務チームも、公式ブログで「AIは最初の確認・振り分け・下書きに使い、最終判断には使わない」「引用や出力は必ず検証する」という使い方を紹介しています(後述)。

契約書を入力する前に確認する、Anthropic公式のデータの扱い

契約書には取引先の情報や金額が含まれます。入力する前に、利用しているプランでデータがどう扱われるかを確認してください。Anthropicの公式ページとClaude Codeの公式ドキュメントの記載は次のとおりです(2026年9月28日確認)。

利用形態 モデルの学習への利用 Claude Codeのデータ保持期間
Free・Pro・Max(個人向け。これらのアカウントでClaude Codeを使う場合を含む) 利用者が設定で選ぶ。設定がオンのときに学習に使われる。安全性の確認対象になった会話や、フィードバックとして送信した内容は別扱い 設定オン: 5年/設定オフ: 30日
Team・Enterprise・API(法人向け) 既定では学習に使わない。フィードバックやバグ報告を送信した場合、利用者側が提供を選んだ場合(Development Partner Programなど)は例外 標準で30日。データを保持しない設定(Zero data retention)は、条件を満たしたEnterpriseの組織ごとに有効化

出典: Anthropic Privacy Center(法人向け製品)、同(個人向け製品)、Claude Code公式ドキュメント「Data usage」

あわせて、次の2点は自社で確認が必要です。

  • 社内の情報管理ルールで、契約書を外部のAIサービスに入力してよいことになっているか
  • 相手方との秘密保持契約などに照らして、契約書の内容を外部サービスに入力して問題がないか

判断がつかない場合は、会社名・個人名・金額を伏せてから入力する、法人向けプランに切り替える、といった方法を検討してください。

Claude Codeで契約書チェックができる仕組み

Claude Codeとは

Claude Codeとは、Anthropic社が提供するAIコーディングツールです。ターミナル上でAIと対話しながら、ファイルの読み書き・コード生成・コマンド実行・Web検索などを自律的に実行できます。

コーディングツールとして知られていますが、できることはコード生成にとどまりません。自然言語で書かれたテキストの分析、PDF文書の読み込み、決めた観点に沿った整理など、文書を扱う作業にも使えます。

Anthropic自身の法務チームも、Claudeを業務に使っています。公式ブログ(2025年12月8日公開)によると、マーケティング関連の法務レビューにかかる期間が2〜3日から24時間に短縮されました。契約書の修正比較(レッドライン)についても、手作業での比較にかかっていた数時間を節約できていると述べています。同じ記事には、AIは誤った内容を出力することがあるため、引用と出力を必ず検証し、最終判断には使わないという方針も書かれています。

スキル機能による自動化の仕組み

Claude Codeには「スキル」と呼ばれる仕組みがあります。作業の手順をMarkdownファイル(SKILL.md)に書いておくと、Claude Codeがその手順に沿って作業します。公式ドキュメントによると、スキルは説明文(description)の内容をもとに関連する依頼のときに使われ、/スキル名 と入力して直接呼び出すこともできます。

「契約書チェック」「契約書を確認」などと依頼すると、Claude Codeが以下の処理を順に実行します。

  1. 指定フォルダから契約書ファイルを読み込む
  2. 設定した観点(損害賠償・知的財産権・競業避止など)でリスクの候補を洗い出す
  3. 高・中・低の3段階で整理する
  4. 修正案のたたき台を含むレビュー結果をMarkdownファイルとして保存する

この仕組みにより、あらかじめ決めた観点に沿った一次チェックを、毎回同じ基準で行えます。出力を原文と照合し、判断するのは人です。

構築した「contract-checker」スキルの中身

チェック観点4カテゴリ

「contract-checker」スキルのSKILL.mdには、以下の4カテゴリにわたるチェック観点を設定しています。

カテゴリ 主なチェック項目
A. 基本事項 契約当事者の表記、契約目的の明確さ、契約期間・更新条件、金額・支払条件
B. 不利条項 損害賠償の上限、免責条項の均衡、知的財産権の帰属、秘密保持の範囲・期間、競業避止義務、解除条項の対称性、自動更新条件、専属管轄
C. 法的リスク 取適法(中小受託取引適正化法。2026年1月1日施行、旧・下請法)に関わる可能性、独占禁止法に関わる可能性、改正民法(2020年4月1日施行)への対応状況
D. AI/IT特有 SLAの過度な保証要求、AIの特性を考慮した契約不適合責任(成果物が契約内容に適合しない場合の責任)の設計、データの権利関係、第三者ツールのライセンス整合性、再委託の可否

カテゴリBの「不利条項」は8項目あり、契約書を読み慣れていないと見落としやすい箇所を並べています。

法令の名称や内容は改正されます。たとえば下請法は、公正取引委員会の案内のとおり2026年1月1日から「中小受託取引適正化法(取適法)」になりました。SKILL.mdに書いた観点は、定期的に見直してください。

リスク評価の3段階基準

洗い出した箇所は、以下の3段階に分けて出力させています。この区分はスキルの中で決めた整理用の目安であり、法的な評価ではありません。

レベル 説明 次の対応の目安
高リスク 重大な損害につながる可能性がある 修正を求める候補。締結するかどうかを含めて専門家に確認
中リスク 一定のリスクがあるが交渉で軽減できる可能性がある 修正を求めるかどうかを検討
低リスク 軽微なリスク。実務上大きな問題になりにくい 内容を把握しておく

「高リスク」に分類された箇所がある場合は、締結前に弁護士への確認を検討してください。

AI/IT事業特有のチェック項目

SaaS・AI開発・コンサルティングなどのAI/IT事業では、契約書に特有の確認点があります。

その一つが「SLA(サービスレベル合意)」です。「稼働率99.9%を保証する」といった条項は、AIサービスの特性上、守ることが難しい場合があります。また、AIが生成した成果物の権利帰属や、預けたデータがモデルの学習に使われないかといった点も確認項目に入れています。


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実際に使ってみた事例 — レベニューシェア契約のチェック結果

ある企業が、ビジネスパートナーとのレベニューシェア型業務委託契約(PDF)に対してcontract-checkerスキルを実行しました(社名・当事者名は匿名化しています)。

この契約は「甲(パートナー)が事業支援を提供し、乙(依頼企業)が粗利益の10%を支払う」という構造で、上限は月額1,000万円という内容でした。

以下は、スキルが出力した内容の紹介です。個別の契約に対する法的な評価を示すものではありません。

検出された高リスク条項4件

スキルが高リスクに分類した条項は次の4件です。

1. 永久継続条項「原則として契約は永久に継続する」という記述がありました。業務委託では契約期間を定めることが多いのに対し、この契約では事業売却などの特殊事情を除き、粗利益の10%を支払い続ける内容になっていました。

2. 買戻し・終了オプションの金額未定契約解除の際に「協議の上、一定金額を支払う」と記載されていましたが、具体的な金額が定義されていませんでした。協議がまとまらない場合に、契約を終了しにくくなる可能性があります。

3. 一方的解除困難解除条件が相手方の合意を必要とする形になっており、自社側からの解除に高いハードルが設けられていました。

4. 甲(相手方)の業務内容が不明確支援内容・成果物の定義が曖昧で、相手方が何を行う義務を負っているかが明確ではありませんでした。検収の基準がないと、支援の有無をめぐって認識がずれる可能性があります。

中リスク6件と経済的インパクト試算

中リスクとして検出されたのは、粗利益の計算方法が未定義(「売上の10%」と解釈される可能性)、2年目以降のシェア率が未定義、知的財産権・秘密保持・損害賠償・管轄条項の欠如などです。

スキルは経済的インパクトの試算も出力しました。

粗利規模(月間) 年間支払額 10年累計
月100万円 約120万円 約1,200万円
月500万円 約600万円 約6,000万円
月1,000万円 約1,200万円(上限適用) 約1.2億円

この試算により、「粗利の10%」という割合でも、事業規模によっては長期で大きな金額になることが見えるようになりました。

ユーザーの判断と締結後のアドバイス

スキルの出力は「締結見送りを強く推奨」でした。この企業は、指摘事項を把握したうえで、事業上の判断から契約締結を選択しました。

Claude Codeはその後、締結後の対応ポイントとして以下を挙げました。

  1. 相手方の支援内容を日付・内容ともに記録を残す
  2. 粗利益の計算方法を書面で早期確定させる
  3. 支払累計額を継続的に管理する
  4. 事業軌道に乗る前に終了金額の目安を協議しておく

このように、確認が必要な箇所の一覧だけでなく、判断した後に管理しておく事項の整理にも使えます。

ポイントAIによるレビューはリスクの「可視化」が主な役割です。契約するかどうかの判断はあくまで人間が行います。ただし、何が問題なのかを認識した上で締結するのと、何も知らずに締結するのとでは、事後の対応力が大きく変わります。

スキルを使うための準備と手順

Claude Codeは、Claudeの有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)またはAPIで利用します。公式の料金ページでは、Proプラン以上の機能一覧にClaude Codeが記載されています(2026年9月28日確認)。

STEP 1 — スキルフォルダと契約書格納フォルダの作成

まずターミナルで以下のフォルダを作成します。

mkdir -p ~/.claude/skills/contract-checker/
mkdir -p ~/Desktop/契約書チェック/契約書/
mkdir -p ~/Desktop/契約書チェック/レビュー結果/

契約書/ フォルダがPDFを置く場所、レビュー結果/ フォルダがチェック結果の保存先になります。

STEP 2 — SKILL.mdの作成(CLAUDE.mdへの登録は不要)

~/.claude/skills/contract-checker/SKILL.md を作成します。ファイルの先頭に、スキルの名前(name)と説明文(description)を書きます。

---
name: contract-checker
description: 契約書を読み、不利になりそうな条項や確認が必要な箇所を洗い出す。「契約書チェック」「契約書を確認」と依頼されたときに使う。
---

公式ドキュメントによると、Claude Codeは説明文をもとに、そのスキルを使うかどうかを判断します。どんな依頼のときに使うのかを説明文に書いておくのがポイントです。

続けて、SKILL.mdの本文に次の要素を書きます。

  • チェック観点A〜D: 前述の4カテゴリのチェック項目
  • リスク評価基準: 高・中・低の分け方と次の対応の目安
  • レビュー結果のフォーマット: 保存するMarkdownの構造(条文番号と原文の引用を必ず含める)
  • 契約書の格納先と結果の保存先: STEP 1で作ったフォルダのパス
  • 免責事項: AIによる分析であり、法的助言ではない旨

~/.claude/skills/ に置いたスキルは、そのパソコンのすべてのプロジェクトで読み込まれます。以前の手順で案内していた ~/.claude/CLAUDE.md への登録は、スキルを有効にするためには必要ありません。

STEP 3 — PDFをフォルダに置いてスキルを起動

チェックしたい契約書のPDFを ~/Desktop/契約書チェック/契約書/ に格納します。Wordの契約書は、PDFかテキストに変換してから置くのが確実です。

その後、Claude Codeで次のように入力します。

契約書チェック

ファイルを指定する場合や、スキルを直接呼び出す場合は次のように入力します。

契約書チェック: 業務委託契約書_2026年4月.pdf
/contract-checker 業務委託契約書_2026年4月.pdf

Claude Codeがファイルを読み込み、チェックを実施し、レビュー結果/ フォルダにMarkdownファイルで結果を保存します。

実行時間の目安: PDF 10〜20ページの契約書であれば、1〜2分程度が目安です。分量や利用状況によって変わります。公式ドキュメントによると、10ページを超えるPDFは1回あたり20ページまでの範囲に分けて読み込まれます。

PDFの扱い方を詳しく知りたい場合は、Claude CodeでPDFを扱う方法の解説記事も参考にしてください。

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有料AI契約書レビューSaaSとの使い分け

日本では、LegalOn(LegalForceの移行先)、LeCHECK、OLGA、LAWGUEなど、契約書レビューや法務業務を支援する専用サービスが提供されています。これらとClaude Codeスキルの使い分けを整理します。

比較項目 有料AI契約書SaaS Claude Codeスキル
費用 サービスごとに異なる。公式サイトに金額を載せず、問い合わせ・見積もりとしているサービスもある Claudeの有料プランまたはAPIの利用料。Proは月額20ドル(年払いは月あたり17ドル)、Teamのスタンダード席は1席あたり月額25ドル(年払いは月あたり20ドル)
チェックの基準 契約書レビューや法務業務に合わせた機能があらかじめ用意されている 汎用のAIに、自分で書いた観点を読ませて分析させる
カスタマイズ サービスが用意した範囲で設定 SKILL.mdを編集すれば観点を自由に追加・変更できる
自社ルール反映 サービスの仕様による 社内ルール・業界固有の観点を文章で追加できる
位置づけ 人の確認を支援する道具。最終判断は人が行う 人の確認を支援する道具。最終判断は人が行う
適したケース 法務部門が毎月多くの契約書を審査する場合 スタートアップ・中小企業の一次チェック

Claudeの料金は公式の料金ページの記載です(2026年9月28日確認)。専用サービスの料金と機能は、各社の公式サイトで確認してください。

有料SaaSが向いているケース

毎月多くの契約書を審査する法務部門や、契約類型ごとのチェック項目・ひな形・案件管理までを一つのサービスでまかないたい場合は、専用サービスが候補になります。コンプライアンス要件が厳しい業界(金融・医療など)では、サービス提供元のサポート体制やセキュリティの資料を確認できる点も選ぶ理由になります。

Claude Codeスキルが向いているケース

専任の法務担当者がおらず、弁護士に相談する前の「一次フィルタ」として使いたい場合に適しています。特定業種に合わせた観点(IT/AI事業固有の確認点など)を自分で追加したい場合や、他の業務の自動化と組み合わせたい場合にも向いています。

Anthropic公式の法務向けプラグインという選択肢

Anthropicは2026年5月12日に、法務分野向けの取り組みとして、法務関連のソフトウェアとつなぐ20以上のコネクタと、12種類の業務領域別プラグインを発表しました。Claude Coworkで利用できます。

公式のプラグイン一覧にあるLegalプラグインには、あらかじめ設定した自社の交渉基準(プレイブック)に沿って契約書を条項ごとに確認し、GREEN・YELLOW・REDの3段階で示す /review-contract というコマンドがあります。このページにも、すべての出力は資格を持つ弁護士が確認すべきである、と明記されています。日本の法令に合わせた内容かどうかは、公式ページからは確認できませんでした。利用する場合は、自社の基準を設定したうえで、日本法に関わる部分を専門家に確認してください。

どの方法でも、「重要な契約書の最終判断は弁護士に確認する」という原則は変わりません。AIによるチェックは、弁護士への相談前に論点を把握するための手段として活用してください。

よくある質問

Q. Claudeで契約書レビューをすることは法的に問題ありませんか?

この記事が扱っているのは、自社が当事者となる契約書を、自社の担当者が確認するときの補助としてClaudeを使う場面です。Claudeの出力は法的助言ではなく、契約を結ぶかどうかの判断は人が行います。

法務省は、AIを使った法務業務支援サービスと弁護士法第72条の関係について、令和5年8月と令和8年8月21日にガイドラインを公表しています。いずれもサービスを提供する事業者に向けた整理です。自社の使い方が問題になるかどうかは個別の事情によるため、判断に迷う場合は弁護士に確認してください。

Q. Claudeに入力した契約書は、AIの学習に使われますか?

プランによって異なります。Anthropicの公式ページによると、Team・Enterprise・APIなどの法人向け製品では、入力と出力を既定ではモデルの学習に使いません。フィードバックを送信した場合や、利用者側が提供を選んだ場合は例外です。

Free・Pro・Maxの個人向けプランでは、学習に使うかどうかを利用者が設定で選びます。契約書を扱う前に、設定画面と自社の情報管理ルール、相手方との秘密保持義務を確認してください(2026年9月28日確認)。

Q. 対応できる契約書のフォーマットは?

Claudeのチャット画面は、PDF・DOCX・TXTなどのアップロードに対応しています。Claude Codeのファイル読み取り機能はPDFに対応しており、10ページを超えるPDFは1回あたり20ページまでの範囲に分けて読み込みます。Claude Codeの公式ドキュメントにWord形式の記載はないため、Wordの契約書はPDFかテキストに変換してから渡すのが確実です。

スキャンした画像だけのPDFも、ページを画像として読む仕組みがあるため読み取れる場合があります。ただし、文字がかすれた原本や細かい文字では読み違いが起こりえます。読み取った条文は原本と照合してください。

Q. Claudeのチャット画面とClaude Codeは、どちらを使えばよいですか?

1通ずつ確認するだけなら、チャット画面に契約書をアップロードして指示する方法で足ります。準備はほとんど要りません。

同じ観点で繰り返しチェックしたい、結果を決まった書式でファイルに残したい、自社のチェック基準を育てていきたい、という場合はClaude Codeのスキルにしておくと、毎回の指示を省けます。

Q. 弁護士に依頼する必要はなくなりますか?

なくなりません。Claudeは問題になりそうな箇所を洗い出して整理するための道具です。指摘が複数出た契約、金額の大きい契約、相手方との交渉や修正案の作成が必要な契約は、弁護士への相談をおすすめします。

事前に論点を整理しておくと、相談のときに確認したい点を絞って伝えられます。

参考: 法務省「AI等法務業務支援サービス提供と弁護士法第72条の関係に係るガイドライン等の公表について」、Claude公式ヘルプ「Uploading files to Claude」、Claude公式ドキュメント「PDF support」

まとめ

Claudeでの契約書レビューは、一次チェックの道具として使うのが基本です。

この記事の要点を振り返ります。

  • 手順: 契約書を渡す → 観点を指定して洗い出させる → 人が原文と照合する
  • 役割分担: Claudeは確認が必要そうな箇所の洗い出しまで。判断は人が行い、法的な評価は弁護士などの専門家に確認する
  • データの扱い: 法人向け製品(Team・Enterprise・API)は既定では学習に使わない。個人向けプランは設定を確認する
  • スキルによる仕組み化: SKILL.mdに観点を書いておくと、「契約書チェック」の一言で同じ基準の一次チェックを実行できる
  • 実際の検出事例: レベニューシェア型業務委託契約で高リスク4件・中リスク6件を検出。永久継続条項や金額未定の終了オプションなどを可視化
  • 経済的インパクトの試算: 月100〜1,000万円の粗利規模で年間120万〜1,200万円の支払いになることを可視化

AIによるチェックは「リスクを把握した上で意思決定する」ための道具です。「何も知らずに締結する」ではなく、「リスクを認識した上で判断する」ために活用してください。


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この記事で参照した外部情報

  1. Anthropic Privacy Center(法人向け製品)privacy.claude.com
  2. 同(個人向け製品)privacy.claude.com
  3. Claude Code公式ドキュメント「Data usage」code.claude.com
  4. 公式ブログ(2025年12月8日公開)claude.com
  5. 公式ドキュメントcode.claude.com
  6. 公正取引委員会の案内jftc.go.jp
  7. 公式の料金ページclaude.com
  8. 公式ドキュメントcode.claude.com
  9. claude.comclaude.com
  10. Legalプラグインclaude.com
  11. 法務省「AI等法務業務支援サービス提供と弁護士法第72条の関係に係るガイドライン等の公表について」moj.go.jp
  12. Claude公式ヘルプ「Uploading files to Claude」support.claude.com
  13. Claude公式ドキュメント「PDF support」platform.claude.com

本文中でリンクしている外部ページの一覧です(自動生成)。最終確認日は本記事の最終更新日 2026-09-28 で、リンク先の内容はその後変わることがあります。

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